ジャズピアノ入門に最適な教本『Jazz Piano Concepts & Techniques』(John Valerio/Hal LeonardCorp)1998年

 私なんかにも、「jazz pianoを弾いてみたいけど、何か良い教本はありますか」と言う質問を受けることがある。本格的にジャズを演奏したいなら、ジャズスクールに通うのが手っ取り早いだろうが、私もそうだったように、まず書店や楽器屋に行って、教本を1冊購入して、弾いて見ると言うのが普通の行動だろう。すでに述べてきたように私がジャズに興味を持った頃、ジャズピアノの教本は何冊か出版されてはいたが、初学習者が使えるような教本は少なかった。その点今は、大量に教本が出版されている。ただ、数が多い分、何を購入したら良いのか迷ってしまうかもしれない。

  また、楽譜に音が固定されているクラシック音楽なら、目標とする音楽の全体像は明確なのでメソッドも絞りやすいだろうが、何しろJazzは即興であると共に、ジャズ・ピアニストは作曲家でもあるのだから、そうした広範囲な音楽的技術や素地を満たすための一歩となる教本を示すのは難しい。それに学習者の音楽的バックグラウンドによっても使用する教本は異なってくる。「楽器を演奏したことはないが、ジャズが好きでピアノを演奏したい。」、「ジャズは弾いたことはないが、昔クラシックのピアノを少し弾いたことがある。」「ピアノは全く触ったこともないが、ギターやトランペットなら演奏したことがある。」等、それでもとりあえず、1冊と言うことなら、バイエル程度の技術で弾けると言う条件で、左上の教本『Jazz Piano Concepts & Techniques』をお薦めしたい(最も明日になれば、また違う教本がいいと思うかもしれないが)。

Jazz Piano Concepts & Techniques

Jazz Piano Concepts & Techniques

 

コードの説明、コードワーク、メロディに対するコード付と、ジャズ初学習者に必要な技法が書かれてある。アドリブの学習本ではないが、バイエル程度の技術で十分弾くことが可能なので、ジャズを全く演奏したことがない人にはまず最初の一冊として、本書をお薦めしたい。ちなみに著者のJohn Valerioは他にも数多く教本を出している、本書が弾きこなせたら(併用してもいいが)真ん中上、右も良書なので、ぜひ挑戦してほしいと思う。